アトピーと副腎疲労の関係とアプローチ

アトピーと副腎疲労。原因と改善方法をまとめました

「アトピーがなかなか良くならない…」
「皮膚にずっと赤みがある…」

その原因、もしかしたら「副腎疲労(HPA軸機能障害)」にあるかもしれません。一見すると皮膚のトラブルとホルモンの問題は別物に見えますが、実は「ステロイド(コルチゾール)」という共通項で深く結びついています。

アトピーと副腎疲労は、お互いが悪化の原因になるため、皮膚だけでなく、副腎疲労にも同時にアプローチしていく必要があります。

この記事では、アトピーと副腎疲労のメカニズムや原因、そして同時に改善していくための具体的な実践方法を分かりやすく解説します。

1. 副腎疲労(HPA軸機能障害)とは?

副腎疲労とは、一言で言うと「ストレスに対抗するためのホルモンが分泌しにくくなった状態」のことです。

本来は脳の「下垂体」から指令を受け、副腎から「コルチゾール」という抗ストレスホルモンが分泌されます。しかし、長期にわたって過度なストレスや炎症が続くと、脳(下垂体)が疲弊して指令を出さなくなり、結果としてコルチゾールの分泌量が低下してしまいます。これはストレスによって、脳そのものが分解されるのを防ぐための最終防衛手段とも言えます。

医学的には副腎そのものの病気ではなく、脳と副腎を結ぶネットワークの不具合であるため、「HPA軸機能障害」とも呼ばれます。

長期のストレスで体調を崩してしまうのも、この副腎疲労が関わっています。

「ストレスホルモン」コルチゾールの4つの役割

副腎から分泌されるコルチゾールには、主に以下のような重要な働きがあります。

  1. 抗炎症作用(体内の炎症を抑える)
  2. 免疫の抑制(アレルギーなどの過剰な免疫反応を抑える)
  3. 血糖値の上昇(エネルギーを確保するために血糖値を維持する)
  4. 抗ストレス作用(心身をストレスから守る)

アトピーの治療で使われる「ステロイド外用薬」は、このコルチゾールを人工的に真似たものです。つまり、アトピーの炎症が自力で抑えられなくなっている状態は、すでに副腎疲労が始まっているサインと言えます。

2. 副腎疲労がアトピーに与える5つの悪影響

低血糖(血糖値調節障害)

通常、血糖値は食後30~60分でピークを迎え、2~3時間後には空腹時の血糖値に戻ります。そして、コルチゾールが分泌されることで肝臓に貯蔵していたグリコーゲン(糖)が分解され、血糖値を維持します。

もし副腎疲労でコルチゾールの分泌が低下していると、血糖値を上げることができないので、血糖値は不安定になってしまいます。

そして血糖値の不安定さは、次のような反応を招きます。

  • 血糖値を上げようとして、アドレナリン・ノルアドレナリンが過剰に分泌される
  • 身体のタンパク質を分解して糖を作る(糖新生)

アドレナリンノルアドレナリンの過剰分泌

低血糖といっても実際に低血糖になることはありません。なぜならアドレナリンやノルアドレナリンがバックアップするからです。

ただし、これらが過剰に分泌されると筋肉に力が入り、身体はこわばります。これが長期間続くとファシア(筋膜、皮下組織)が癒着し、可動域制限や血行不良が起こります。同じ場所で痒みを繰り返したり、湿疹がなかなか治らなかったりするのは、このファシアが関係している事が多いです。

腸粘膜の分解

副腎疲労で低血糖になっているとき、身体は緊急で糖を作り、血糖値を安定させようとします。そのとき優先的に分解されるのは腸粘膜や筋肉です。

腸粘膜が分解されると、

  • 腸粘膜バリアが薄くなり、悪玉菌が増殖する
  • 腸壁の細胞と細胞の結合が弱くなる(リーキーガット症候群)
  • リーキーガットにより未消化物、微生物、毒素が吸収され、肝臓に負担をかけたり、炎症の原因になる
  • 副鼻腔、口腔、尿管などの粘膜も薄くなり、身体全体の免疫力が低下する
  • 過剰な免疫反応にブレーキを掛けてくれる制御性T細胞(Treg細胞)の働きが低下する

腸と皮膚は相関関係にあり、腸内環境が悪くなるとアトピーも悪化します。ただし注意していただきたいのは、腸内環境が悪くても全員に自覚症状があるわけではありません。便秘や胃腸の症状が無くても、腸内環境が悪化し、身体の不調やアトピーの原因になってあることがあります。
つまりアトピーがあるなら腸内環境へのアプローチは欠かせないということです。

筋肉の分解

筋肉は身体の中で最も糖を貯蔵できる場所で、エネルギー供給や血糖値の安定に欠かせません。この筋肉が副腎疲労で分解(タンパク異化)されてしまうと、食後の血糖調節、エネルギー供給が不安定になり、さらに副腎疲労やアトピーの改善の妨げになります。

「筋肉が分解されるなら筋トレで筋肉を増やせばいいのでは?」と考える人もいると思いますが、それは注意が必要です。
アトピーで強い炎症が続いている場合、1日中コルチゾールが出続け、タンパク異化が亢進しています。この状態では筋肉は付きづらく、逆に過度な運動は免疫を低下させ、アトピーの悪化、感染症を発症させるおそれがあります。
体調に合わせた運動、もしくは休息を選ぶことが大切なので気をつけてください。

抗炎症免疫作用の低下

コルチゾールはステロイド薬の元になっているホルモンで、抗炎症・免疫作用があります。これが減少していしまうと、アトピーの炎症や湿疹を抑えづらくなります。

3. アトピーの炎症もまた、副腎疲労を悪化させる

またアトピーの炎症は副腎疲労も悪化させます。

  • 炎症により酸化ストレスが発生し、ミトコンドリアの機能を低下させる →エネルギーを作れなくなり疲れやすくなる
  • 免疫細胞に糖を優先的に消費される (免疫細胞のエネルギーは糖)
  • 日中に炎症や免疫反応で糖を消費してしまうので、肝臓に糖を溜められない →夜間低血糖
  • 体内に炎症があると、身体はミネラルの輸送や吸収を止める ミネラル輸送障害→エネルギー代謝低下
  • 炎症でコルチゾールの消耗し、血糖値調節障害(低血糖)を起こす
  • 痒みと不眠により、副腎に負担をかけてしまう

炎症がさらに炎症の原因になってしまうので、すべての原因に同時に対処する必要があるということです。

4. アトピーと副腎疲労を同時に改善するアプローチ

アトピーと副腎疲労はお互い影響し合っているので、同時にアプローチしていく必要があります。今からそのポイントを説明していきます。

① 血糖値を安定させる食事

副腎疲労を改善するには、血糖値を安定させ副腎を休ませることが最優先です。そのためには食生活の改善は必須です。

食事をすべて外食やコンビニ弁当で済ませている人は、まず1日1食を自炊にするところから始めてください。食事をただの栄養補給で済ませるのではなく、生活の一部として大切にする意識を持ちましょう。

食事のバランス(PFCバランス)は「蛋白質:脂質:炭水化物」が大体「25:25:50」となるよう心がけてください。とくに一人暮らしの男性はバランスが崩れていることが多いです。

食事の回数ですが、基本は1日3食摂るようにしましょう。1日1食や2食という健康法もありますが、副腎疲労でエネルギーを回せない人はほぼ失敗します。失敗して体調を崩すならまだわかりやすいのですが、その原因がわからず、症状が改善しないままズルズル引きずってしまう人もいます。元気な人の食事法を自分に当てはめないようにしましょう。

精製糖質、お菓子などは血糖スパイクを招き、副腎疲労を悪化させます。また血糖値が急降下するとすぐに甘いものが欲しくなるので、甘いものが習慣化してしまいます。
甘いものは脳への依存も強いので、根性で我慢するのではなく、食生活全体を変え、血糖値を安定させながら徐々に減らしていきましょう。

アトピーの人は特定の食べ物を制限をしてしまい、必要なカロリー量を摂取できていないことがあります。これがタンパク異化の原因になり、アトピーの悪化や治りの悪さに繋がってしまいます。食事の量が少ないと感じている人は一度摂取カロリーを計算し、足りなければ食事の全体量を増やしてみてください。
食事量を増やして胃腸への負担を感じる人は、食事を4、5回に分けて食べても大丈夫です。

腸内環境悪化で腸粘膜が薄くなっていると、食後の血糖スパイクも起こしやすくなります。これは不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の摂取を増やすことで予防できます。

治療の初期は朝昼夕の3食の他に血糖値を安定させるための補食を摂ることをおすすめします。
補食とは、良質な炭水化物(+蛋白質、脂質)を摂取することで、血糖値の維持をサポートすることです。
またアドレナリンやノルアドレナリンを分泌を抑えることができるので、身体もリラックスできます。

ただ補食の摂り過ぎは、体重増加、インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる)に繋がるので注意しましょう。最終的な目標は補食がなくても大丈夫な身体を作ることです。

補足ですが、塩分が多めの食事は痒みの原因になります。食事はなるべく減塩に努め、もし多めに摂取したときは、一緒に水分も摂るようにしましょう。ただし食事中に水を飲みすぎると胃液が薄まり、消化不良の原因になってしまうので注意しましょう。また浸出液が多いときは、水分摂取量を減らさなければいけませんので、肌の状態を見て判断してください。

② 体内炎症を抑える良質な脂質を摂取

身体の細胞膜は脂質でできていて、この脂質が炎症を誘発しやすいのか、抑制しやすいのかが体内炎症を抑えるポイントになってきます。

炎症を誘発しやすい油はオメガ6系のリノール酸で、外食やスーパーのお惣菜を頻繁に食べている人はこのリノール酸過多になっている可能性が高いです。
またこういう方は、野菜などの食物繊維類も不足しているので、食生活を自炊メインに切り替えることが必要です。
よく丼物に「サラダも追加で食べているよ」という方がいますが、自炊で摂る野菜の量に比べると圧倒的に少ないです。小手先ではなく食生活の意識から変えてください。

炎症を抑制してくる油は青魚などに含まれるオメガ3系のEPAです。ただ毎日魚を食べるのは難しいと思うので、体内にEPAに変換されるアマニ油を毎日小さじスプーン1杯飲んだり、サラダや汁物に入れたりするのがおすすめです。

③ 腸内環境を整える食事

腸内環境を整える食事のポイントは次の5つです。

  • 精製糖質を減らす
  • 水溶性食物繊維を増やす
  • グルテンフリー、カゼインフリー
  • 消化不良の対策
  • 良質な脂質(オメガ3)を摂取

精製糖質は悪玉菌のエサとなり、腸内環境を悪化させます。依存性により食べることが習慣化していることが多いので、食生活を改善して、甘い物を脱していきましょう。

水溶性食物繊維は腸内細菌によって短鎖脂肪酸に変換されます。そして短鎖脂肪酸が腸粘膜のエネルギー源となり、細胞増殖、粘膜バリアの強化をしてくれます。リーキーガットの改善、免疫強化、暴走した免疫の抑制、自律神経の安定に貢献します。

グルテンやカゼインはリーキガットを悪化させるので、治療中は摂取を控えたほうがいいでしょう。

副腎疲労の人は消化酵素の不足により、消化力が低下しています。消化力が低下すると未消化物が腸に流れ込み、それが腸内環境を悪化させます。
食事のときはよく噛むようにし、消化酵素も活用して、消化吸収をサポートすることをおすすめします。

腸内環境の悪化は同時に腸の炎症も起きているので、炎症を抑制してくれる良質な脂質(オメガ3)も摂取するようにしましょう。またMCTオイルは腸内カンジダ菌の働きを抑制してくるのでおすすめです。

アトピーの人が必ず押さえてほしい食事のポイント

運動で血糖値を安定させやすい身体を作る

運動はエネルギー代謝(ミトコンドリア機能)や細胞に糖を取り込む能力を上げる効果があり、副腎疲労の改善には必須です。

食事前後に軽い筋トレをすることで、筋肉への糖の取り込みが促進され、血糖値スパイクを予防してくれます。

負荷のある筋トレを定期的に行うことで、筋肉量が増え、糖を多く蓄えることができます。これにより血糖値を安定化させ、食後の血糖値スパイクを防ぐことができます。

副腎疲労の人はミトコンドリア機能が低下し、エネルギーを回せなくなっているので、まずは軽いウォーキングから始め、体調が良くなってきたら、ランニングなどを取り入れるようにしてみてください。以前より持久力が付いたと感じたなら、それはミトコンドリア機能が上がり、脂質代謝も上がっているということです。

入浴で炎症を悪化させない

赤い皮膚や湿疹がある肌で入浴すると炎症は悪化します。だからといって毎日脱風呂(シャワーもなし)してしまうと、菌の繁殖による痒みや体臭が強くなってしまいます。肌の状態を見ながら、短時間のシャワー、定期的に石鹸とタオルで洗うなどして、肌をコントロールする必要があります。

⑥ 炎症をコントロールする保湿

基本的に脱保湿で炎症が減れば問題ないのですが、過敏になった皮膚では、乾燥の刺激で掻き壊しが頻発します。すると炎症やストレスによる体力の消耗が大きくなり、体力や皮膚の回復も遅くなります。この場合は保湿をして痒みが治まるなら、短期間だけ保湿剤を使用するのもありです。肌のダメージが減ることでコルチゾールの消耗が抑えられ、身体を休めることができます。

保湿剤は目的を持って短期間使うなら、有効な治療方法です。

⑦ 副腎疲労を改善するための睡眠

コルチゾールは夜になると低下し、代わりに成長ホルモンが上昇してきます。成長ホルモンは就寝時の血糖値の維持、身体の修復に関わります。

もしアトピーで強い炎症があると、夜になってもコルチゾールが下がらず、成長ホルモンへの切り替えがうまくいきません。すると身体を修復することができず、逆にコルチゾールでタンパク異化が進んでしまいます。

また日中にアトピーのストレスが強いと、肝臓に糖を溜めることができず、夜間の血糖値を維持することができなくなります。(夜間低血糖)

夜の睡眠の質を上げるためにも、日中の血糖値コントロールが大切になります。

成長ホルモンのピークに合わせて22時までに寝るようにし、概日リズムを整えるために朝日を浴びるようにしましょう。そのためにもカフェイン抜き、デジタルデトックス、夜までに仕事を終わらせるなど、夜はリラックスできる環境を整えてください。

アトピーで寝れない方へ。睡眠の質を上げる方法

精神的ストレスを緩和する

人はストレスが掛かると交感神経優位になり、筋肉と腸粘膜の分解、消化液の分泌が低下し、腸内環境を悪化させます。ある程度の精神的ストレスは自分自身の受け止め方を変える必要がありますが、精神的ストレスがあまりにも強く、心身の状態が悪いときは、身を守るためにその場から逃げたり、環境を変えることが必要です。

また運動はストレス耐性をつける方法として効果的です。とくに家にひきこもっているとメンタルも不安定になるので、そういう人はまずウォーキング、ストレッチ、ヨガ、筋トレなどの軽いものからでいいのではじめていきましょう。

「私は心が弱い」「昔のトラウマが原因だ」と悩む方もいますが、ほとんどの場合、身体や脳の神経伝達物質やホルモンの不調に心が引っ張られ、問題が大きくなっています。副腎疲労を改善して身体のベースを整えることで、その悩みは軽くなることが多いです。食事、運動、サプリを取り入れ総合的に身体を整えていきましょう。

整体による身体へのアプローチ

副腎疲労は自律神経を乱し、筋緊張を強くさせ、身体を歪ませます。とくに頭蓋骨はその影響を受けやすく、歪んだ頭蓋骨は脳脊髄液のポンプ作用を低下させ、脳疲労の回復を妨げてしまいます。これは脳脊髄液には脳(神経)を栄養する役割があるからです。

整体で身体を整えることは、脳脊髄液の循環を良くし、脳疲労の回復も助けます。

5. まとめ

アトピーがなかなか治らない背景には、ホルモンや自律神経と関係が深い「副腎疲労(HPA軸)」が隠れていることが多々あります。

そして問題なのは副腎疲労が症状として認識されず放置されていることです。
生活習慣改善で副腎疲労とアトピーにアプローチすることで、身体を内側から整えることができ、アトピー改善の近道になります。

当院のサイトには脱保湿や食事などのページもあるのでぜひ参考にしてお役立てください。

当院では施術はもちろん、オンラインでのアトピー個別相談も行っていますので、ぜひご活用ください。

アトピー性皮膚炎
オンライン相談│アトピー・脱保湿・脱ステ
この記事の執筆・監修者

初田輝夫

新京橋治療院 院長 初田 輝夫
  • はり師・きゅう師(国家資格)
  • 臨床分子栄養医学研究会認定カウンセラー

新宿医療専門学校 鍼灸学科を卒業後、鍼灸整骨院で臨床経験を積みながら、セミナーにてカイロプラクティック、オステオパシーの技術を学ぶ。2013年に独立し、新京橋治療院を開院。現在は医師主催の分子栄養学セミナーで得た知識をもとに、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を中心に施術を行う。

アトピーや副腎疲労に悩む方へ整体と分子栄養学の両面からアプローチしています。お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。


当サイトのコンテンツは、分子栄養療法専門の医師が主催するセミナーおよび臨床講座から得た一次情報をベースに構成されています。解剖生理学、生化学など事実に即した信頼性の高い最新情報の発信に努めています。

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