・ステロイドは依存するから使いたくない
・依存するとリバウンドが激しくなるんでしょ?
患者様と話していると、ステロイドの「依存性」に不安に感じている人が結構多いんです。
私は10年間アトピー治療の臨床に携わってきた経験から、ステロイドがそんなに悪いものではないかな。。と感じています。
というのは、不安を感じる原因のすべてがステロイドにあるわけではないからです。
・塗るのをやめれなくなる
・リバウンドが激しくなる
という現象は実際ありますが、話を聞いてみると患者様の生活習慣やスキンケアに問題があることも多いです。
色んな情報、思考、行動が絡み合って、それがブラックボックスになってしまい、不安を助長しているのだと私は考えています。
これらを紐解くことで、ご自身の肌の状態を把握でき、ステロイドへの不安を減らすことができるのではないでしょうか。
今回はステロイドの依存について私の見解を話したいと思います。
ステロイドの依存って?
「依存」って何でしょうか?
ステロイドを肌に塗っていると、皮膚で(自家製)ステロイドが作られなくなる
と説明する皮膚科の先生がいます。
私は研究者ではないので、これが事実かはわかりません。 しかし、皮膚科の先生が言うなら本当なのでしょう。
ただ、
自家製ステロイドが減って、ステロイドがやめられない体になってしまう
というのが、みなさんが感じる不安の正体なのでしょうか?
私はこれは違うと思っています。
そもそもの悪化した
原因があるよね?
アトピーを悪化させるのはステロイドの成分ではありません。
その理由は
- 保湿剤もアトピーを難治化させる
- ステロイドだけ塗っている人は少ない
- 脱保湿でもリバウンドする
- ステロイドの基剤も保湿剤になる
ということです。
保湿剤もアトピーを難治化させる
炎症の肌に保湿剤を使うのは、火に油を注いでいるのと同じです。 そして、さらに強くなった炎症をステロイドで抑える。 この繰り返しが皮膚科で行っているアトピーの標準治療です。
まだ、この範囲ならいいのですが、保湿が頻回になったり、市販の保湿剤を加えだすと炎症が強くなります。 すると、ステロイドも効かない難治性のアトピーになります。
ステロイドだけ塗っている人は少ない
アトピーの標準治療は、ステロイドと保湿剤が基本です。 ひどくなったときだけ、ステロイドをちょこちょこ塗る人がいますが、そういう人の方が意外に悪化しなかったりします。
皮肉なことですが、真面目にせっせとたくさん保湿している人の方が難治性のアトピーになっていることが多いですね。
脱保湿でもリバウンドする
リバウンドは脱ステだけで起こると思われがちですが、実は脱保湿でも起きます。 意外ですよね。
ということは、ステロイドがリバウンドを起こす原因とは限らないんです。
ステロイドの基剤も保湿剤になる
ステロイドの塗り薬というのは、ステロイドだけの成分でできているわけではありません。 塗り薬のベースとなる基剤が主体となっています。
この基剤はクリーム系やワセリン系などがあり、保湿として影響しています。
ステロイドの成分以外の
影響が大きい
つまり、ステロイドの成分以外でアトピーに影響を与えているものが、ものすごくあるということです。
そして、多くの人が悪化した原因をステロイドに擦り付け、本当の原因を見逃しています。
ステロイド(免疫抑制剤)を使うと、炎症は一時的に抑えられ、やめれば再燃する。 ただこれだけのことなんです。
もしかすると、皮膚で作られるステロイドの減少が影響しているかもしれませんが、それがどの程度なのかはわかりません。
そんな影響よりも保湿や基材の影響のほうが遥かに上だと私は考えています。
新薬であるコレクチムも同様で、薬効としては炎症を抑える効果がありますが、塗り続けていると基剤により悪化している人を見かけます。
もし、盲目にステロイドを不安がるのであれば、これを機会に保湿の影響についても考えてみてはどうでしょうか?
他にも、食事、長時間の入浴、運動不足、過剰な水分摂取も影響します。
まとめ
私が今回伝えたいことは、「ステロイドを好きになってほしい」ということではありません。
ステロイドの不安が先行し、本当の悪化原因を見逃してませんか?
ということです。
今の状態を作っているのは何か?
状況を分析することが大切です。