ステロイドで湿疹は消えたけど、元の肌に戻らない
と思ったことはありませんか?
実はステロイドを塗り続けている限り、もとの健康な肌には戻りません。なぜかというとステロイドが肌の血管を収縮させ、健康な肌に生まれ変わるのを妨げているからです。
詳しく説明していきます。
ステロイドについて
ステロイドとは、副腎皮質で作られる副腎皮質ホルモンのことです。副腎皮質は糖質コルチコイドというホルモンを放出しますが、この糖質コルチコイドは抗炎症作用、免疫抑制作用、血管収縮作用があります。ステロイドは糖質コルチコイドを人工的に合成し、効果を強くしたものになります。最強ランクのステロイドは、人の皮膚にもともと存在するステロイドホルモンの10万倍といわれています。ステロイドの特徴は分子サイズが小さく脂溶性のため、皮膚からの吸収が早く即効性が高いです。
抗炎症作用
アトピー性皮膚炎は免疫反応や掻破による刺激により、炎症を促す物質が産生され、炎症が強くなります。ステロイドはこの炎症を促す物質の産生を抑制します。
免疫抑制作用
ステロイドはアレルギー反応を抑える効果もあります。アレルギー反応でヒスタミンを放出するマスト細胞(肥満細胞)に対してヒスタミンの放出を抑制します。ヒスタミンは毛細血管拡張や血管透過性の亢進作用があります。
血管収縮作用
アトピー性皮膚炎は毛細血管の拡張、血管透過性の亢進、むくみが起きています。掻き壊すと浸出液や血がすぐ出たりするのもこの原因です。ステロイドの血管収縮作用はこれらの症状を緩和します。
ステロイドを塗り続けると肌が生まれ変われない
体は常に環境に順応する能力を持っています。肌も空気が乾燥した環境では、表皮が乾燥しないように皮脂の分泌を高めようとします。もし肌が環境に適さない場合、炎症を起こし、新しい肌へと再生します。再生した肌は以前よりも環境に順応した肌へと生まれ変わります。しかし、ステロイドによってこのサイクルを止めてしまうと、湿疹は良くなっても肌は生まれ変われません。このような肌は健康な肌とは違い、バリアが弱く、皮脂をうまく出すことができません。これがステロイドでアトピーがよくならない理由になります。
つまり、アトピーを改善させるには単に炎症を抑えるのではなく、順応した肌に生まれ変わらせる必要があるのです。そうすれば以前と同じような負荷がかかっても、炎症が起きにくくなります。
アトピーを本当によくしたいなら、いずれ脱ステしなければいけません。またステロイド以外の塗り薬にも同じことが言えます。「湿疹を抑えて症状を楽にしましょう」という薬は肌自身の回復する力に抑制をかけています。ステロイドと同様に最終的にやめる必要があります。
まとめ
今回、ステロイドを塗り続けてもアトピーがよくならない理由について解説してきました。
ステロイドは劇的にアトピーに作用しますが、先の見えない苦しみと不安も作りだします。当院に通院しながら、脱ステした方の多くは「ステロイドを使わないだけでも気が楽だ」といいます。ステロイドを使うということへの罪悪感やいつまで使い続けなければならいのか・・・という悩みにずっと苦しんできた人ばかりです。
あなたもアトピーへの正しい認識をもち、体を改善することで、その悩みを解決できますので頑張ってください。