アトピーの色素沈着、原因と改善方法

アトピーの色素沈着とは

皮膚炎のあとにはメラニン色素が増え、皮膚が黒ずんで見えます。さらに表皮の細胞が壊れ、もっていたメラニン色素が真皮に落ち、入れ墨をしたようになります。これがアトピーの色素沈着です。

色素沈着は日焼け後の黒ずみと同様なので、肌のターンオーバーとともに通常は薄くなります。

なぜアトピーの色素沈着は改善しづらいのか?

長期化したアトピーは炎症を繰り返しているので色素沈着も強くなっています。さらに炎症によるむくみで皮膚組織が線維化し、硬化することで改善しづらくなっていると考えられます。
また次のような生活習慣も改善を妨げている原因になります。

  • 入浴時に刺激を入れられていない
  • 運動不足で血行が悪い

アトピーの色素沈着の改善方法

※今から説明する内容はアトピーの炎症が沈静化している人が対象です。現在、強い炎症や悪化を繰り返している人は決して行わないでください。

皮膚の線維化と硬化を緩め、ターンオーバーを促せば、色素沈着は薄くなり、元の肌の色に戻すことができます。そのためには次のようなことを実践する必要があります。

  • 入浴で皮膚のターンオーバーを促す
  • 皮膚組織の線維化と硬化を緩める
  • 身体の歪みを整える
  • 運動で血行促進する

その方法を説明するのでぜひ参考にしてください。

①入浴で皮膚のターンオーバーを促す

皮膚のターンオーバーを促すには物理刺激と熱刺激が必要です。

<定期的に石鹸とタオルで洗う>

身体を洗うとき、定期的に石鹸とタオルを使って皮膚に刺激を入れましょう。余分な角質を落とす作用とマッサージ効果があります。

<熱めの湯船に浸かる>

熱めの湯船に浸かることで線維化した組織を柔らかくし、血行を良くします。

②皮膚組織の線維化と硬化をほぐす

皮膚組織(結合組織)そのものが硬化してると末端に血が巡らず肌は改善しません。
この場合の対処法は皮膚を直接指でほぐし、結合組織を柔らかくすることです。これにより血液が皮膚末端まで巡るようになり、結合組織の変化とターンオーバーを促せます。

③身体の歪みを整える

身体の歪みは結合組織を硬化させて身体を安定させます。これは補正という身体本来の機能なので異常ではありません。しかし硬化により結合組織の血流が悪くなるため、色素沈着は改善しにくくなり、次のような問題も引き起こします。

  • 痒みや赤みが引きづらい
  • 皮膚が突っ張り、関節が動かしづらい
  • 皮膚感覚が過敏になり、痛みや痒みが引きづらい
  • 皮膚が割れる
  • 傷の治りが遅い
  • 傷が乾きづらい

これらは身体の歪みを整えることでこの影響を減らすことができます。

④運動で血行促進する

心拍数が上がる負荷で運動を行うと皮膚末端へ血液を送ることができるので、色素沈着が改善しやすくなります。ただストレッチ、ヨガ、ウォーキングなどのようなほとんど心肺機能を使わない運動では改善を促せないので、負荷のある運動を選ぶようにしてください。

まとめ

アトピーの色素沈着の原因とその改善方法についてお話しました。

アトピーの色素沈着した皮膚は線維化し、硬化している。改善方法は刺激を入れる、体の歪みを整える、血行をよくするのがポイントです。

もともと色素沈着は変化しにくいですが何ヶ月も改善がみられない場合、今までの行動を変えてみる必要があります。アトピーは自分自身で検証を繰り返し答えを見つけていく必要があるので、今改善しないで悩んでいる人も諦めないで行動してください。


参考文献:田上八郎,「皮膚の医学 ― 肌荒れからアトピー性皮膚炎まで」,中公新書,2013年3月

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