副腎疲労はアトピーを悪化させ、またアトピーは副腎疲労を悪化させます。アトピーを改善するには、アトピーと副腎疲労の両方にアプローチしなければいけません。
このページではアトピーと副腎疲労の関係、メカニズム、原因と改善方法について説明していきます。
アトピーが治らない方は副腎疲労を併発している事が多いので、ぜひ参考にしてください。
副腎疲労(HPA軸機能障害)とは?
副腎疲労とは、脳にある下垂体が疲労することにより、そこから分泌される副腎皮質刺激ホルモンが減少し、副腎皮質から分泌されるコルチゾールが減少するという状態です。
副腎疲労と言われていますが、実際は副腎ではなく下垂体が疲労しているので、HPA軸機能障害と言います。ただ副腎疲労と言うほうがわかりやすいので、このページでは副腎疲労として説明していきます。
コルチゾールとは、様々なストレスがかかった時、身体が頑張るために出されるホルモンでストレスホルモンとも言われます。
短期的なストレスは身体に害はないですが、長期的なストレスはコルチゾールを出し続けてしまうので、筋肉や腸、続いて脳まで分解してしまいます。それを防ぐために脳は下垂体の機能を低下させ、副腎皮質刺激ホルモンの分泌を減少させます。つまり副腎疲労は身体が壊れるのを防ぐために起こっているのです。
副腎疲労はこのコルチゾールが減少によって現れる身体の不調です。
副腎皮質ホルモンのコルチゾールとは
コルチゾールとは、副腎の皮質というところから分泌されるホルモンで、
- 抗炎症作用
- 免疫抑制
- 血糖値の上昇(糖新生のスイッチ)
- 抗ストレス効果
- タンパク異化(身体のたんぱくが分解させる)
の作用があり、
- ストレス
- 炎症(アトピー、副鼻腔炎、腸内環境の悪化、脂肪肝など)
- 低血糖
などをきっかけで分泌されます。
炎症があるとコルチゾールの分泌は増えますが、炎症が続くと副腎疲労を起こしてしまい、逆にコルチゾールの分泌は低下します。すると炎症を抑えることができなくなるので不調も強くなります。
長期的なストレスで体調崩してしまうのはこの副腎疲労が大きく関わっています。
副腎疲労はアトピーにどのような影響があるのか?
低血糖(血糖値調節障害)
血糖値は通常、食後30~60分でピークを迎え、2~3時間後には空腹時血糖に戻ります。そして、コルチゾールによって肝臓に貯蔵していたグリコーゲン(糖)が分解され、血糖値を維持します。コルチゾールが糖を作るスイッチの役割をしているということです。
つまり副腎疲労でコルチゾールの分泌が低下していると、血糖値が不安定になってしまうということです。
そして、血糖値が不安定になると様々な症状や反応が起きます。
- アドレナリンやノルアドレナリンが過剰に分泌される
- 身体のタンパク質を分解して糖を作る(糖新生)
アドレナリンやノルアドレナリンの過剰分泌
血糖値をバックアップするために、アドレナリンやノルアドレナリンが過剰に分泌されます。すると筋肉に力が入り、身体はこわばります。これが長期間続くと、ファシア(筋膜、皮下組織)に癒着が発生し、可動域制限や血行不良が起こり、痒みや湿疹が治りづらくなります。
腸粘膜の分解
副腎疲労で低血糖になっているとき、身体は緊急で糖を作り、血糖値を安定させようとします。そのとき優先的に分解されるのは、筋肉や腸粘膜です。
腸粘膜が分解されてしまうと、
- 腸粘膜バリアが薄くなり、悪玉菌が増殖する
- 腸壁の細胞と細胞の結合が弱くなる(リーキーガット)
- リーキーガットにより未消化物、微生物、毒素が吸収され、肝臓に負担をかけたり、炎症の原因になる
- 副鼻腔、口腔、尿管などの粘膜も薄くなり、身体全体の免疫力が低下する
- 過剰な免疫反応にブレーキを掛けてくれる制御性T細胞(Treg細胞)の働きが低下する
腸と皮膚は相関関係にあり、腸内環境が悪くなるとアトピーも悪化します。また腸内環境が悪くても、全員が自覚症状を感じるわけではありません。便秘や腹部の症状が無くても、腸内環境の悪化が身体の不調やアトピーの原因になってあることが多々あります。
つまりアトピーがあるなら腸内環境へのアプローチは欠かせないということです。
筋肉の分解
筋肉は身体の中で最も糖を貯蔵できる器官で、エネルギー供給や血糖値の安定に欠かせません。この筋肉が分解されてしまうと、食後の血糖調節、エネルギー供給が不安定になり、アトピー改善の妨げになります。
アトピーで強い炎症が続いていると、1日中コルチゾールが出っぱなしになります。するとタンパク異化(筋肉が腸粘膜の分解)を起こしてしまうので、筋トレをしても筋肉は付きづらくなります。
血糖値を安定させるには筋肉を付けないといけませんが、同時に炎症を抑えることも必要になります。
抗炎症や免疫作用の低下
コルチゾールはステロイド薬の元になっているホルモンで、抗炎症・免疫作用があります。これが減少していしまうと、アトピーの炎症や湿疹を抑えづらくなります。また免疫細胞は糖を栄養素としているので、炎症が続く限り、糖を持っていかれ、肝臓への貯蔵量も低下し、夜間低血糖の原因になります。
アトピーの炎症や湿疹は副腎疲労を悪化させる
さらに問題なのはアトピーの炎症は、
- 炎症により酸化ストレスが発生し、ミトコンドリアの機能を低下させる →エネルギーを作れなくなり疲れやすくなる
- 免疫細胞に糖を優先的に消費される (免疫細胞のエネルギーは糖)
- 日中に炎症や免疫で糖を消費してしまうので、肝臓に糖を溜められない →夜間低血糖
- 体内に炎症があると、身体はミネラルの輸送や吸収を止める ミネラル輸送障害→エネルギー代謝低下
- 炎症でコルチゾールの消耗し、血糖値調節障害(低血糖)を起こす
の原因となってしまうことです。
炎症がさらに炎症の原因になってしまうので、すべての原因に同時に対処が必要ということです。
アトピーと副腎疲労を同時に改善していく方法
アトピーと副腎疲労はお互い影響し合っているので、同時に両方へアプローチしていく必要があります。今からそのポイントを説明していきます。
血糖値を安定させる食事
副腎疲労を改善するには、血糖値を安定させることが第一優先です。そのためには食生活の改善は必須です。食事をすべて外食やコンビニ弁当で済ましている人は最低1日1食は自炊にしましょう。食事をただの栄養補給で済ませるのではなく、生活の一部として大切にする意識改革が必要です。
食事のバランス(PFCバランス)ですが、「蛋白質:脂質:炭水化物」が大体「25:25:50」となるよう心がけてください。
食事の回数ですが、基本は1日3食摂るようにしましょう。1日1食や2食という健康法もありますが、副腎疲労でエネルギーを回せない人はほぼ失敗します。失敗して体調を崩すならまだわかりやすいのですが、その原因がわからず、症状が改善しないままズルズル引きずってしまう人もいます。元気な人の食事法を自分に当てはめないようにしましょう。
精製糖質、お菓子などは血糖スパイクを招き、副腎疲労を悪化させます。また血糖値が急降下するとまたすぐに甘いものが欲しくなるので、これが習慣的に繰り返されてしまうのも問題です。
甘いものは血糖値的な依存よりも、脳への依存のほうが強いです。根性で我慢するのではなく、食生活全体を変え、血糖値を安定させながら徐々に目の前から甘い物を消していきましょう。
アトピーの人は特定の食べ物を制限をしてしまい、必要なカロリーを摂取できていないことがあります。それがタンパク異化の原因になり、アトピーの悪化や治りの悪さに繋がってしまいます。食事の量が少ないと感じている方は一度摂取カロリーを計算し、足りなければ食事の全体量を増やしてみてください。
食事量を増やして胃腸への負担を感じる人は、食事を4、5回に分けて食べても大丈夫です。
腸内環境悪化で腸粘膜が薄くなっていると、食後の血糖スパイクも起こしやすくなります。これは不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の摂取を増やすことで予防と対策ができます。
治療の初期は朝昼夕の3食の他に血糖値を安定させるための補食を摂ることをおすすめします。補食とは、良質な炭水化物(+蛋白質、脂質)を摂取することで、血糖値の維持をサポートすることです。またアドレナリンやノルアドレナリンを分泌を抑えることができるので、身体もリラックスできます。
ただ補食の摂り過ぎは、体重増加、インスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる)の増大に繋がるので、注意しましょう。最終的な目標は、補食がなくても大丈夫な身体を作ることです。
血糖値を安定させるための運動
運動はエネルギー代謝(ミトコンドリア機能)や細胞に糖を取り込む能力を上げる効果があり、副腎疲労の改善には必須です。
食事前後に軽い筋トレをすると、筋肉への糖の取り込みを促してくれるので、血糖スパイクを予防してくれます。
負荷のある筋トレを定期的に行うことで、筋肉量が増え、糖を多く蓄えることができます。これにより血糖値の安定化と食後血糖スパイクを防ぐことができます。
副腎疲労の人はミトコンドリア機能が低下し、エネルギーを回せなくなっているので、まずは軽いウォーキングから始め、体調が良くなってきたら、ランニングなどを取り入れるようにしてみてください。以前より持久力が付いたと感じたなら、それはミトコンドリア機能が上がり、脂質代謝も上がっているということです。
炎症を抑える食事
身体の細胞膜は脂質でできていて、この脂質が炎症を誘発しやすいのか、抑制しやすいのかがポイントになってきます。
炎症を誘発しやすい油はリノール酸で、外食やスーパーのお惣菜を頻繁に食べている人はこのリノール酸過多になっている可能性があります。こういう方の場合、野菜などの食物繊維類も不足しているので、食生活を自炊メインに切り替えることが必要です。
よく丼物に「サラダも追加で頼んでいるよ」という方がいますが、自炊で摂る野菜のほうが圧倒的に量が多いです。小手先ではなく食生活の意識から変えてください。
炎症を抑制してくる油は青魚などに含まれるEPA、DHAです。ただ毎日魚を食べるのは難しいので、体内にEPAに変換されるアマニ油を毎日小さじスプーン1杯飲んだり、サラダや汁物に入れたりするのがおすすめです。
塩分が多めの食事は痒みの原因になります。食事はなるべく減塩に努め、もし多めに摂取したときは、一緒に水分も摂るようにしましょう。ただ食事中に水を多めに飲みすぎると胃液が薄まり、消化不良の原因になってしまうので注意しましょう。また浸出液が多めに出ているときは、水分摂取量を減らさなければいけませんので肌の状態を見て判断しましょう。
炎症を強くしない入浴
赤い皮膚や湿疹がある肌で入浴すると炎症は強くなります。だからといって毎日入浴なしでは菌の繁殖による痒みや体臭が強くなってしまいます。肌の状態を見ながら、数日入らない、短時間のシャワーにするなど、コントロールする必要があります。
炎症をコントロールする保湿
基本的に脱保湿で炎症や湿疹が減れば問題ないのですが、過敏になった皮膚では、乾燥の刺激で掻き壊しが頻発します。すると炎症やストレスによる体力の消耗が大きくなり、体力や皮膚の回復も遅くなります。この場合は保湿をしてみて痒みと炎症が治まるなら、短期間保湿剤を使用するのもありです。炎症を抑えることでコルチゾールの消費が抑えられ、身体を休めることができます。
保湿剤は目的を持って短期間使うなら、有効な治療方法です。
腸内環境を整える食事
腸内環境を整える食事のポイントは次の4つです。
- 精製糖質を減らす
- 水溶性食物繊維を増やす
- グルテンフリー、カゼインフリー
- 消化不良の対策
- 良質な脂質(オメガ3)を摂取
精製糖質は悪玉菌のエサとなり、腸内環境を悪化させてしまいます。依存性により食べることが習慣化していることが多いので、食生活を改善して、甘い物を脱していきましょう。
水溶性食物繊維は腸内細菌によって短鎖脂肪酸に変換されます。そして短鎖脂肪酸が腸粘膜のエネルギー源となり、細胞増殖、粘膜バリアの強化をしてくれます。リーキーガットの改善、免疫強化、暴走した免疫の抑制、自律神経の安定に貢献します。
グルテンやカゼインはリーキガットを悪化させるので、治療中は摂取を控えたほうがいいでしょう。
副腎疲労の人は消化酵素の不足により、消化力が低下しています。消化力が低下すると未消化物が腸に流れ込むことになるので、それが腸内環境を悪化させます。副腎疲労の人は食事のとき、消化酵素も併せて服用することをおすすめします。またよく噛むことも消化の一部なので、早食いの人はよく噛むようにしてください。
腸内環境の悪化は同時に腸の炎症も起きているので、炎症を抑制してくれる良質な脂質も摂取するようにしましょう。
副腎疲労を改善するための睡眠
コルチゾールは夜になると低下し、代わりに成長ホルモンが上昇してきます。成長ホルモンは就寝時の血糖値の維持、身体の修復に関わります。
もしアトピーで強い炎症があると、夜になってもコルチゾールが下がらず、成長ホルモンへの切り替えがうまくいきません。すると身体を修復することができず、逆にコルチゾールでタンパク異化が進んでしまいます。
また日中にアトピーの炎症が強いと、糖を肝臓に溜めることができず、夜間の血糖値も維持することができなくなります。
夜の睡眠の質を上げるためにも、日中に血糖値と炎症をコントロールすることが大切になります。
成長ホルモンのピークに合わせて22時までに寝るようにし、概日リズムを整えるために朝日を浴びるようにしましょう。んそのためにもカフェイン抜き、デジタルデトックス、夜までに仕事を終わらせるなど、夜はリラックスできる環境を整えてください。
精神的ストレスを緩和する
人はストレスが掛かると、筋肉と腸粘膜の分解、消化液の分泌が低下し、腸内環境を悪化させてしまいます。ある程度の精神的ストレスは自分自身の受け止め方を変える必要がありますが、精神的ストレスがあまりにも強く、心身の状態が悪いときは、身を守るためにその場から逃げたり、環境を変えることが必要です。
また運動はストレス耐性をつける方法として効果的です。とくに家にこもりがちだとメンタルも不安定になるので、そういう人はまずウォーキング、ストレッチ、ヨガ、筋トレなど軽いものからはじめていきましょう。
「私は心が弱い」「昔のトラウマが原因だ」と悩む方もいますが、ほとんどの場合、身体や脳の神経伝達物質やホルモンの不調に心が引っ張られ、問題が大きくなっています。副腎疲労を改善して身体のベースを整えることで、その悩みは軽くなることが多いです。食事、運動、サプリを取り入れ総合的に身体を整えていきましょう。
身体のストレスを整体で緩和する
副腎疲労で血糖値が不安定なると、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌され、身体のファシア(皮下組織、筋膜)が癒着します。
またアトピーで炎症を繰り返す皮膚は、痛みでこわばり、皮膚やファシアが癒着してしまいます。
この癒着が身体のスムーズな動きを制限してしまうので、傷の治りやリラックスを妨げてしまいます。
整体でこわばった身体をリラックスさせることで、回復をサポートできます。
腸のむくみ(線維化)と肝臓の負担を整体で改善する
腸内環境の悪さは腸粘膜に炎症に起こし、栄養の吸収障害、リーキーガットなどの原因になります。また未消化物や毒素が吸収され、肝臓に負担を掛けてしまい、肝臓の機能低下、内臓体性反射によって身体の歪みを生じさせます。
整体で腸のむくみを解消し、肝臓を調整することで、肝臓の機能と身体の歪みを整えることができます。
まとめ
アトピーと副腎疲労について解説してきました。
基本はやはり食事、睡眠、運動で、その後にサプリ、整体、鍼、マッサージです。
アトピーが悪化傾向にある人には、低血糖(血糖値調節障害)、腸内環境の悪化がありますが、症状として認識されることは少ないです。これらの問題にアプローチしていくことで、身体のベースを整えていくことができ、アトピー改善の近道にもなります。
当院のサイトには脱保湿や食事などのページもあるのでぜひ参考にしてお役立てください。
当院では施術はもちろん、オンラインでのアトピー個別相談も行っていますので、ぜひご活用ください。