脱保湿を成功させるためのポイント

脱保湿を成功させるためのポイント

※このページの対象者はすでに脱ステ、脱保湿をされている方です。

脱保湿は保湿剤をやめて肌を乾燥させることですが、乾燥させるためには次のことにも気をつけなければいけません。

塗るもの、入浴、運動、汗、肌着、寝具、室温湿度、水分摂取量

これらに注意を払えていないと、かさぶたがふやけてしまい肌は治りません。

脱保湿を成功させるためのポイントをまとめましたので、ぜひ参考にし実践してください。

なぜ皮膚がふやけるダメなのか?

脱保湿中、角質がかさぶた(痂皮)になり未熟な皮膚を保護します。この保護により未熟な皮膚は水分を保持することができ、正常なターンオーバーをすることができます。
しかし、かさぶたにはふやけると剥がれやすくなるという弱点があり、もし剥がれてしまうと、その下の未熟な皮膚は空気に晒され、保持している水分が蒸発してしまいます。すると正常にターンオーバーを終えることができず、またかさぶたになってしまいます。

ふやけでこれを繰り返すと治りが悪くなってしまうということです。

さらに皮膚がふやけると角層に溜まっているIL1(インターロイキン1)の働きで皮膚炎を起こしてしまいます。

・絆創膏で痒くなる
・おむつかぶれ
・夏、太った人で皮膚と皮膚が重なる場所が痒くなる

これらもふやけが原因で痒みや炎症が起きているということです。

皮膚のふやけは、皮膚の回復、ターンオーバーの正常化を妨げてしまうので常に注意しましょう。

保湿効果のあるものをすべてやめる

保湿剤には、ワセリン、ヒルドイド、化粧水、オイル、乳液、クリームがあり、これらはすべてやめる必要があります。

化粧をやめることに抵抗のある人はいると思いますが、すでに赤み、痒み、浸出液が出ているのであればやめることが必須です。
冠婚葬祭で一時的に化粧が必要なときがあると思いますが、そのときは短時間の使用に留め、すぐ落とすようにしてください。

日焼け止めも保湿になるので、紫外線対策は日傘や帽子で行ってください。どうしても避けられないときだけ単発で使用するのは大丈夫です。また多少の日焼けは肌のターンオーバーを促してくれますし、紫外線はビタミンDを産生してくれるので完璧な紫外線対策は必要ないです。

添加物がダメで無添加やオーガニックの保湿剤ならいいという提案をよく聞きますが、保湿は保湿なので塗るものはすべてやめる必要があります。

薬も保湿になる

最近はステロイド以外の新薬(コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏)も登場していますが、これらの軟膏の基剤にはワセリンが使われているので自動的に保湿効果がついてきます。

実際に使用している方の経過を見ていると、最初は薬効で効いているように見えますが、途中から赤みが強まっていることが多いです。おそらく基剤のワセリンの保湿効果により、熱がこもる、皮膚が過敏になるなどの保湿依存に陥っているのではないかと思います。

マスクはしない

マスクをしていると呼気で口周りがふやけてしまうので、マスクはしないようにしましょう。

また長年のマスク生活で口周りの皮下組織、結合組織が硬くなり、皮膚が治りづらいなっていることもあります。その場合、口内や皮膚をマッサージして循環をよくする必要があります。

肌着は綿100%

綿素材の肌着は皮膚の湿気を自動で調整してくれるので、基本的に肌着は綿100%を使いましょう。

しかし運動するときに綿の肌着を着ていると汗で濡れっぱなしになりふやけてしまうので、運動時はトレーニングウェアを着用しましょう。

また春秋で気温の変化が大きいときは、肌着で調整するのではなく上着で快適な状態をキープしてください。

通気性のいいマットレス

ウレタン素材のマットレスは湿気を通しにくい上、ウレタンとの接触面で熱がこもりやすいので使用を避けたほうがいいです。

一般的な敷布団やファイバー系の通気性がいいものをおすすめします。

エアコンはつけっぱなしにする

就寝時、エアコンの切タイマーを設定してしまうと、エアコンが切れた途端、寝汗をかいてしまいます。エアコンは切タイマーを使わず、つけっぱなしにしてください。

また途中で室温が変わると自律神経が働くことになり、身体が休まりません。

身体を休めるには、暑くも寒くもない一定の環境を作ることが大切です。

肌に接する素材は綿100%で

夏にひんやりする素材の寝具を使う方がいますが、肌に接する素材は綿100%を使用してください。

炎症が強いときは皮膚から水分が飛んでいるので、その湿気を逃がしてあげなければいけません。大判タオルやタオルケットを使ってうまく調節してください。

脱ステ・脱保湿直後は積極的に乾燥

脱ステ・脱保湿直後は皮膚を積極的に乾燥させないといけません。

そのときはシャワー3分くらいにしてさっと浴室から出ましょう。濡れたまま浴室にいるだけでも保湿になってしまいます。

また傷が多い、深い、新鮮なカサブタが付いているときは、シャワーで濡らすのも避けたほうがいいときがありますので、肌をみて判断してください。

長湯は皮膚をふやかす

当てはまる人:赤み・炎症が強い、湿疹・傷が多い、肌が不安定、脱ステ・脱保湿直後

長湯(10分以上の湯船)は皮膚をふやかしてしまうので、乾燥優先の時期は長湯は避けましょう。また標準治療中でも皮膚が常に赤い場合は余計に悪化させてしまうので避けたほうがいいでしょう。

運動以外で長時間の汗はかかないように

当てはまる人:赤み・炎症が強い、湿疹・傷が多い、肌が不安定、脱ステ・脱保湿直後

例えば汗をかいたほうがいいという情報から、夏場にエアコンを付けずに家事をしたりする人がいますが、これはかさぶたをふやかしてしまうのでやめてください。肌が安定するまで快適な室温と湿度で過ごしてください。

運動時は運動のメリットが上回ってくるので、汗を気にする必要はありません。ただそのときはスポーツウェアを着て運動を行うようにしてください。

真夏の外出時は汗だくになってしまいますが、それは仕方ないので諦めましょう。

積極的に運動をしましょう

当てはまらない人:体調が悪い、動く体力がない、寝れてない人

慢性炎症、むくみが続いた皮膚は線維化が進み、むくみが抜けづらくなっています。

積極的な運動で血流を良くして、体内の水分を移動させましょう。

手袋はしない

手に湿疹や傷があるということで、家事をするときにビニールやゴム手袋をする人がいます。

これは気持ちはわかるのですが、基本的に手袋は使用しないほうがいいです。

手は治る条件が整っていれば、手袋無しで家事をしても治ります。逆に手袋をしても治らないということは、治る条件が整っていない可能性があり、さらに治りを悪くしていることもあります。

習慣的に手袋をしていると角質はふやけて分厚くなりひび割れます。ひび割れると指は動かしづらくなるので、さらに血行が悪くなって傷の治りが悪くなります。

手袋をするほど手の湿疹に気を使っている人は普段から石鹸で手を洗わないことも多いので、菌が繁殖して痒みの原因になっていることもあります。

手に関しては保護しすぎると治りを悪くしてしまうので、普段からどんどん動かし、気にせず石鹸で手洗いもしてください。痛みや固くて動かせない場合はマッサージをして動かせるようにすることがポイントです。

ビニールやゴム手袋をどうしてもしなければいけないときは、先に綿の手袋をしてからビニールやゴム手袋をしてください。それでも着用時間は短くする必要があります。

水分摂取量をコントロールしましょう

水分摂取量は多すぎても少なすぎてもいけませんし、状況によって量を調整する必要があります。

就寝時、浸出液が出てくるようであれば、試しに夜の水分摂取量を減らしてください。日常生活で浸出液が気にならないのであれば、1.5~2.0リットルの間で調整してください。

また水分と運動量はセットで考えてください。摂った水分を運動で回していくイメージです。

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