アトピーの人が必ず押さえてほしい食事のポイント

このページではアトピーの人が食事や栄養療法で気をつけてほしいことをまとめています。すでにサプリを試しているけど効果が出ない、情報が多すぎで混乱している人はぜひ読んで参考にしてください。

食事の基本は三大栄養素

食事療法の基本は三大栄養素のタンパク質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)をバランスよく摂ることです。

PFCバランス(25:25:50)

これを後回しにして、サプリ、プロテイン、オイルを摂ってもうまくいきません。もし今試されている食事療法で効果が出ないのであれば、一度基本に戻すことをおすすめします。

カロリーは摂れているか?

PFCバランスのいい食事でも摂取カロリーが足りなければ、身体は省エネモード(低代謝)になり、身体のダメージを回復できません。また低血糖により身体がこわばったり、強い痒みが現れることがあります。

アトピーの人がよく陥りがちなパターンとして、除去食、グルテンフリー、糖質制限などの食事制限でカロリー不足に陥っていることがあります。こうなるとサプリ、プロテイン、保湿剤、何をやっても良くなることはありません。肌の症状がずっと変わらない人はPFCバランスとカロリーを見直してください。

次のようなことでもカロリー不足に陥ります。

  • ヘルシーを意識して脂質が少ない
  • 過度な運動で必要なカロリーが増えている
  • 身体のダメージが大きく消耗が激しい

少食の人がいきなり食事量を増やすのは難しいので、まずは食事回数を増やしたり、MCTオイルを活用するなどしてください。

<1日の必要なカロリーの目安>
引用元:日本人の食事摂取基準(2020年版)より

消化不良を防ぐ

消化不良で大腸に未消化物が流れると、日和見菌が増殖し腸内環境が乱れます。腸内環境の乱れは粘膜の免疫低下やリーキーガットに繋がり、アトピーを悪化させる大きな要因なってしまいます。
このとき抗生物質で菌をリセットしようとする人もいますが、原因が消化不良なので半年くらいで戻ってきてしまいます。
消化不良を防ぐことは腸内環境を整える第一歩となるので食事の改善は重要です。

アトピーの人は胃腸の症状がなくても、消化吸収力が低下している前提で対応する必要があります。消化のサポートとして簡単なのは食事と一緒に消化酵素を摂ることです。薬局やネット通販で売られているもので構いませんので摂ることおすすめします。

忘れがちですが「咀嚼」も消化の一部です。お腹の中に赤ちゃんがいるイメージで咀嚼回数を増やし、ゆっくり食べるようにしましょう。

ストレス下や交感神経優位のままだと胃酸が出づらくなり、さらにアドレナリンにより血糖値は急上昇します。食事中や食後はリラックスすることを心がけましょう。

身体やアトピーに良くないと言われるものを食べるときもあるかもせれません。しかしそれをイヤイヤ食べるのは消化不良の原因になりますし、毒だと思って食べれば身体は緊張します。食べるときは美味しく感謝をもって食べましょう。

<消化不良の原因>
  • 胃酸や消化酵素の不足
  • ストレス
  • 自律神経の乱れ
  • 早食い
  • 胃腸の未発達や機能低下

低血糖になっていないか?

低血糖とは、血糖値が低いことではなく、血糖値が不安定になる血糖調節障害のことです。
この血糖調節障害があると身体はリラックスできず、身体のダメージを修復できません。身体を根本から治していくために血糖値の安定化は大切です。

対策としては食事は1日3食を基本とし、2回の補食(状態悪いほど増やす)を加えます。補食をすることで食間の低血糖を防ぎます。
3時のおやつも補食みたいなものですが、お菓子ではいけません。お菓子だと糖質に偏ってしまい、血糖値が急上昇や腸内環境の悪化の原因になってしまいます。
おすすめの補食は、おにぎり、ゆで卵、甘栗、ナッツなどの良質な炭水化物、タンパク質、脂質が組み合わさったものです。糖質量の目安は1時間あたり10g程度がいいでしょう。またMCTオイルを飲み物に入れて活用するのもおすすめです。
気を付けていただきたいのは良質な炭水化物であっても食べ過ぎれば血糖値は上昇しすぎてしまいます。また血糖値を気にしすぎて食べるのを我慢してしまうと、アドレナリンが出てしまい、次食事したとき血糖値が急上昇してしまいます。食事に対して厳しくなりすぎないようにしましょう。

身体に悪い食べ物がアトピーを悪化させるという情報が先行してしまい、カロリー不足から低血糖に陥ってしまうことがよくあります。確かに身体に良くない食べ物はありますが、それよりも身体のエネルギーを回すためのカロリーが不足し続けていることのほうが問題です。カロリー不足から低血糖になっている人は、まず三大栄養素でしっかりカロリーを摂取できるように食事を見直してください。

低血糖を予防するにはエネルギーを回せる身体づくりも大切です。それには運動が欠かせません。体調をみながらウォーキング、ランニング、筋トレを行いましょう。

<低血糖の原因>
  • 摂取カロリーが足りない
  • ミトコンドリア機能の低下
  • 運動不足、筋力不足
  • 長期のストレス
  • PFCバランスの悪い食事
  • 糖質過多
  • 肝臓機能の低下
  • 炎症(全身)

糖質制限に失敗している

糖質制限の方法には軽いものから厳密なものがありますが、どの方法でも失敗し低血糖に陥っている人がいます。
糖質制限は脂質メインでエネルギーを回すため、次のような状態だとエネルギー不足になります。

  • 脂質代謝の補酵素が足りない
  • ミトコンドリア機能が低下している
  • 脂質の消化吸収力が悪い
  • 脂質の摂取量が少ない
  • 総カロリーが足りていない

要は脂質を使えない、摂取量が少ない人です。
特に副腎疲労の人は普段糖質メインでエネルギーを回しているので、糖質制限した途端、体調を崩してしまうことがあります。
副腎疲労の改善には時間がかかるので糖質制限は一旦中止し、PFCバランスの取れた食事に戻してください。


タンパク質の摂取量

1日のタンパク質の摂取量の目安は1.0~1.5g/kg(体重)で、肌のダメージや運動量によって必要量も変わります。ただアトピーや副腎疲労の人は消化力が落ちているので、はじめはPFCバランスを整えることだけに集中したほうがいいでしょう。

タンパク質の含有量ですが、肉100gに対し20gと意外と少ないです。外食のファストフードなどで摂取しようとすると難しいので自炊が必須になります。
また毎日必ず目安量を取る必要はなく、平均して摂れていれば大丈夫です。

糖質ではなく炭水化物を

炭水化物とは糖質と食物繊維が合わさったものです。
PFCバランスで炭水化物の割合を増やすときも、精製された糖質や甘いものを増やすのではなく、お米などの炭水化物を増やしましょう。
精製された糖質は、低血糖、腸内環境の乱れ(カンジダ)、ビタミン・ミネラルの消費させてしまうため、普段から多い人は減らすことが必要です。

副腎疲労の人は糖質制限NG

副腎疲労の人は脂質をエネルギーとして使えなかったり、ミトコンドリア機能が低下しているので糖質制限をしてはいけません。まずは正しいPFCバランスの食事で体調を整えていってください。
元気が出てきてから運動を行うことで脂質を使える身体をつくることができます。

低血糖対策にMCTオイル

MCTオイル、ココナッツオイルは中鎖脂肪酸と言われ、長鎖脂肪酸より4倍早く吸収し、10倍早く代謝(ミトコンドリアに入る際、カルニチンが不要)されます。
食事や飲み物などに加えることで腹持ちが良くなるので低血糖対策になります。また抗カンジダ作用もあるので腸内環境を整えてくれます。加熱不可なので炒め物には使えません。

参考:勝山ネクステージ

炎症体質をつくる油を避ける

脂質(油)には、炎症を起こす油と炎症を収束させる油があり、それぞれオメガ6とオメガ3といいます。
普段からオメガ6(リノール酸)の摂取が多いと、炎症体質になり体内では様々な炎症が起きやすくなります。

現代の生活ではオメガ6の摂取が増えてしまうので、意識的に食べ物や油を選ぶ必要があります。外食やお惣菜、加工食品、お菓子、デザートを頻回に食べる人はなるべく減らし、自炊中心の食生活にしましょう。

自炊で使う油はオリーブオイルなどに置き換えることで、リノール酸の割合を減らすことができます。また非加熱で使う場合はオメガ3が含まれるアマニ油や菜種油がおすすめです。

基本は自炊

食事は自炊にしましょう。自炊にすることでリノール酸の摂取を減らせ、食物繊維やタンパク質を意識的に増やすことができます。

おすすめの脂質:オメガ3、EPA

オメガ3、EPAは抗炎症効果があるので積極的に取り入れていきましょう。

アマニ油や菜種油はEPAの前駆体となるαリノレン酸を含んでいます。
酸化しやすく加熱用には向かないので、サラダなどにかけて摂取してください。直射日光も酸化の原因になるので冷蔵庫保管にして短期間で使い切りましょう。

EPAは青魚などに含まれていています。
サバ缶は調理不要、長期保存、タンパク質も摂れるのでおすすめです。

食事からオメガ3を摂取するのが難しい方はサプリでも構いません。ただし夏場は暑さで酸化しやすいので保管方法には気をつけてください。

良質な脂質は摂取してすぐ効果が出るものではありませんが、細胞膜を形成する大切な栄養素です。習慣化して継続的に取り入れるようにしましょう。

参考:JOYL 毎日アマニ油

水溶性食物繊維で大腸を修復

アトピーがあるということはすでに腸に問題があります。薬や保湿を塗ろうが原因となる腸の問題が解決できなければ、肌は良くなりません。
腸の問題とは、善玉菌の減少、悪性菌の増殖、腸管免疫の低下などがあり、それにより腸から異物が吸収され様々な不調を起こします。
これらの解決策として水溶性食物繊維を増やし腸粘膜の修復を促進する方法があります。
水溶性食物繊維は腸内細菌により短鎖脂肪酸へ変わり、腸粘膜の栄養素として働きます。

腸内細菌が水溶性食物繊維を分解・発酵させ、短鎖脂肪酸を生成(20-30g/日)します。
  • 短鎖脂肪酸は大腸粘膜の血流を増加させ、上皮細胞の増加を促す
  • 腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑制
  • 大腸でのミネラルの吸収がよくなる
  • 蠕動運動が活発になり、消化吸収と便通がよくなる
  • 腸管免疫IgAの強化

このように水溶性食物繊維は腸粘膜を強化してくれる大切な栄養です。バランスの良い食事で積極的に増やしていきましょう。
すでに意識した食事で中々改善しない人はイヌリンなどの水溶性食物繊維サプリを使うこともおすすめします。

水溶性食物繊維を多く含む食材

ネバネバ食材:オクラ、なめこ、もずく、わかめ
りんご、いちご、オートミール、アボガド、ごぼう

参考:NICHIGA(ニチガ) イヌリン

カフェイン抜きで身体を休めよう

カフェインは本来の疲れを感じにくくさせ、身体の回復を遅らせます。重度の副腎疲労やアトピーの場合、一旦カフェインをやめてしっかり身体を休めることを必要です。

<カフェイン摂りすぎのデメリット>
  • アドレナリンにより糖新生が起こり、ビタミンB群やマグネシウムを消費
  • コルチゾールを枯渇させてしまう
  • 肝臓への負担:カフェインは肝臓で解毒されるため
  • 深部体温調整の乱れ
  • 睡眠の質低下

カフェインを常に摂取している人は睡眠の質が低下しています。カフェインを抜いて寝ると深い睡眠が取れ、内臓機能の修復、副腎疲労の改善もしやすくなります。

  • 2周間かけて徐々に減らしていく
  • 薄めのものに置き換えていく
  • 夕方以降は飲まなようにする
  • カフェインレスに置き換える

ちなみにカフェインの効果が完全になくなるまで24時間かかります。

グルテンフリー

小麦に含まれるグリアジンがゾヌリン(腸の細胞間を開く作用)を放出させ、リーキーガッドを促進させてしまいます。ほかにも高GIによる高血糖、中毒性があります。

今アトピーの症状が強く出ているのであれば、グルテンフリーにすることをおすすめします。

グルテンとは

最初から小麦の中にグルテンが入っているわけではない。小麦粉(強力粉)に水を加えてこねるとグルテンができる。(グルテニン+グリアジン+水)

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