すべてのアトピーの人対象。入浴方法をまとめました。

アトピーの症状や病態は千差万別で、治療法はもちろん、入浴もその人に合った方法を取らなければいけません。しかし、現状そういった指導はされず、「アトピー」と一括りに扱われています。

そして、その入浴方法は誰がやってもすぐ悪化することのない内容になっています。

  • 肌は優しく泡で洗いましょう
  • 肌にやさしい石鹸を使いましょう
  • 石鹸は使わずシャワーのみで洗い流しましょう
  • 湯船に浸かるだけにしましょう

こう言っておけば、皮膚に刺激は入れていないのだから、入浴によって悪化することはありません。

確かにそうでしょう。しかし、こういった入浴を続けると皮膚の適応する力、変化する力が失われ、正常は皮膚に戻れなくなります。

適応力が失われた皮膚は、乾燥肌になり、保湿する頻度は増えます。 変化する力が失われた皮膚は、体液循環が落ちているので、傷が治らない、痛みや痒みを強く感じるといった症状を招きます。

人が身体に備わる適応力を信用できなくなった結果、弊害が現れ 、さらなる混乱を招いているのが、今日のアトピーの現状だと私は考えています。

私がここで提唱していることは、

皮膚を理解した上で、今の肌にあった刺激を入れていき、ターンオーバーを正常にしていくことです。

これは何かを塗ったり、飲んだりする他力的なものではなく、刺激と休息を繰り返し、肌本来の力で変化を促していく自然な方法です。

ただし、一般的なスキンケアの先入観が強く、肌に刺激を入れることを恐怖を感じる人は控えたほうがいいでしょう。そういう人は変化に対し、不安を感じるので、耐えられないことが多いです。

今の肌の状態を理解し、入浴の目的が明確になれば、毎日が変化や改善のきっかけになります。当てはまる項目はぜひ参考にしてください。

ちなみにアトピーの主な原因は腸内環境や肝臓に起因します。入浴のアプローチと同時に身体の内側、生活習慣の改善も必要になります。

アトピーの標準治療中、
赤みや痒みを抑えられている方

標準治療でうまく症状を抑えられてる人は、そもそも不満はないかもしれません。もし今後、薬や保湿をやめる方向に進めたい人は次のことを参考にしてください。

標準治療の人の多くは、入浴では肌に負担がかからないように優しく洗い、入浴後、ステロイドと保湿剤を塗っています。人によっては朝や日中にも追加で塗るのではないでしょうか。

標準治療の人がこの入浴を続けると、保湿力のない角質が表皮に蓄積していきます。 なぜかというと、ターンオーバーで落ちるはずだった角質を薬や保湿剤で落ちないようにしているからです。(薬も基材はワセリンやクリームなどの保湿剤)

その状態で優しい洗身や洗顔をしても、蓄積した角質は落ちません。その角質を落とさないことが、さらに乾燥を強くさせ、保湿が頻回になります。

蓄積した角質を放置すると、角質が乱れ、次のような問題を引き起こします。

  • 角質の刺激により、身体はこわばる
  • 皮膚感覚が過敏になる
  • 皮膚の血行不良
  • 角質の間で細菌が繁殖する

これらの要素はアトピーの悪化素因となってしまうので、普段から肌のターンオーバーと血行をよくしておく必要があります。

具体的には、洗身は石鹸と綿のタオルで行い、洗顔は石鹸と手のひらでしっかり洗うことです。これは毎日ではなく、肌の状態に合わせて定期的に行うことが大切です。

しっかり洗うことで余分な角質を除去することができ、乾燥肌を軽減できます。

「乾燥肌だから優しく洗う」はより強い乾燥肌を作っているということを覚えといてください。

アトピーの標準治療中、
赤みや痒みが強くなっている方

標準治療をしていても症状を抑えきれない人は多いです。この場合、前提として肌だけではなく、身体、腸内環境、肝臓のダメージのケアが必要です。それについてはまた別のところで解説します。

標準治療をしていて悪化(赤み、赤黒さ、痛み、傷、ゴワゴワ)している人は、10分以上のシャワーや湯船はNGです。

赤みが強いのは炎症で皮膚に水分が集まっている状態です。そこをお湯でふやかしてしまうと、皮膚はさらにもろくなってしまい、回復が追いつきません。わ

また入浴後に保湿を必要と感じてしまうのは、長時間の入浴で皮脂を落としすぎている、保湿力のない角質が溜まっていることが原因です。その対策として、定期的な洗身と洗顔で余分な角質を落とす必要があります。

標準治療で保湿しているとき、肌の洗い方が弱いと、表皮で増殖した菌を洗い落とすことができません。これが原因で異常な痒みが現れることがあるので、洗うときはしっかり洗いましょう。

脱ステ・脱保湿直後、
激しいリバウンド中

激しいリバウンド中(傷、出血、かさぶた、浸出液がある)は、なるべく皮膚を乾燥させ、かさぶたや鱗屑を作るようにしなければいけません。したがって、湯船や3分以上のシャワーはNGです。またシャワーも浴びない方がいいときもあります。

リバウンド中はターンオーバーが激しくなり、異常に角質が増えるので、定期的な洗身、洗顔で角質をケアしなければいけません。もし角質をケアしないと、感覚過敏、血行不良、傷が治らない、身体がこわばるなどの状態になってしまいます。

ちなみに当院にいらっしゃる方の多くは、脱ステ・脱保湿後に角質ケアができておらず、皮膚の回復が鈍っています。

脱ステ・脱保湿後、
皮膚が肥厚し、停滞している

激しいリバウンド中と違い、積極的に皮膚に刺激を入れられるので、入浴による刺激で皮膚の代謝を上げていきます。 ※全体的に赤みが抜けない、浸出液が出る方は対象外です。

石鹸とタオルによる洗身、石鹸による洗顔で定期的に刺激を入れ、皮膚の代謝を促進します。また刺激に慣れてきたら、熱めの湯船に浸かり、熱刺激を加えます。刺激を入れない日はシャワーのみで皮膚を休ませます。刺激と休息を繰り返すことで、肌のターンオーバーを助けます。

身体はまだ不安定なので、悪化の波を感じることがあると思います。焦りはそれ自体がストレスとなり、身体の回復を妨げてしまいますので、リラックスして治療に取り組んでください。

脱ステ・脱保湿後、
刺激を入れても変化が出ない

洗身と洗顔で角質ケアができていると、ある程度のゴワゴワは減らせますが、限界はあります。その場合、入浴時にピーリングを行い、皮膚を柔らかくしていきます。

ピーリングは誰でも行っていいものではないので、当院のアトピーコース、個別相談(継続)の中でご案内しています。

脱ステ・脱保湿後、
きれいな肌になり安定している方

きれいな肌になってきたら、とくに入浴制限はありません。ただ角質が溜まってきたときは、ピーリングで角質ケアを行ったほうがいいでしょう。

細菌により悪化している場合、
表皮の細菌をリセットする

アトピー肌は皮脂分泌が低下しているため、悪性菌が繁殖しやすくなっています。これに加え、入浴制限や石鹸を使わない入浴をしていた場合、悪性菌を洗い流さないため、良性菌が勢力を伸ばすことができません。

悪性菌の増殖は、痒み、赤み、角質の異常増殖の原因となり、アトピーの治りを妨げてしまいます。これを予防するために入浴で殺菌を行います。この方法は当院のアトピーコース、個別相談(継続)の中でご案内しています。

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